これから小学校では学習発表会の時期となりますが、元気に参加できるよう、保護者の皆様には、子どもたちの体調管理に十分気を付けていただきたいと思います。
今月は少し季節外れの話題を提供します。
学校の夏休み(夏季休業)についてですが、この長期休業期間は今から100年以上も前の明治14年に制定された小学校教則綱領第7条で「小学校においては日曜日、夏季冬季休業日及び大祭日、祝日等を除くのほか授業をすべきものとする。」と定められ、その考え方が現在まで続いています。
その目的については、はっきりと示されているものはないと思いますが、日本の夏は蒸し暑く、冬は特に北日本方面では寒さが厳しく、授業に集中することが難しいことや、普段の学校生活で体験できないような活動を休業期間中に行うことなどが考えられます。
この夏季休業に関連して、9月上旬の新聞記事によれば、国は「働き方改革」と表裏一体のものとして「休み方改革」を進めるということです。
具体的には、学校の夏季休業などの長期休業日を分散させることで、地域ごとに『キッズウィーク』を新たに設定し、大人と子どもが一緒にまとまった休日を過ごす機会が創出できるよう、休業日を定めている学校教育法施行令の改正案を閣議決定し、来年度からの実施を目指すという内容です。
詳細な取扱いは未だ示されていないので分からないことばかりですが、夏季休業については、現在、「公立の学校の学期及び夏季、冬季、学年末、農繁期等における休業日は学校を設置する市町村又は都道府県が定める。」となっています。※ 池田町では7月10日から8月31日までの間において引続き25日以内で校長が定める。
この規定に「家庭や地域での体験学習のための休業日」を追加し時期を適切に分散化、例えば、夏季休業期間を5日間削って、その分を10月の特定の時期に、休日を含めた一週間程度の新たな休業日を設けるというもののようです。
記事では、文部科学大臣が「子どもの豊かな学びの実現のためには保護者の有給休暇促進や、多様な活動機会の確保などと合わせて推進することが必要だ。」と強調し、教育委員会に対し「休業日の日数や時期などは児童生徒、地域の実情に応じて柔軟に判断してほしい。」というコメントも紹介されていました。
また、この取組を進めていくために、学校のみならず企業等の協力や分散化する休業期間中の文化・スポーツ等の活動機会の確保などについても対応策として考えているようですが、この報道は大変唐突という感じがしました。
私が知る限りでは、子どもたちや保護者、学校、教職員にとっての夏休みの意義や必要性の議論がどこでどのように行われたのか、その経過が判然としません。
教員の時間外勤務や民間企業での長時間労働が問題となっている中、働き方改革の必要性は十分認識していますが、そのための方策として学校の休業期間の取扱いが学校等での議論がなく行われようとしているのであれば残念です。
今後、この『キッズウィーク』がどのような中身で市町村や学校に示されるか十分注視していきたいとは思いますが、夏季休業等を活用して「働き方改革」や「休み方改革」につなげていくのであれば、まずは、子どもたちにとっての休業日、学校や教職員にとっての休業日とは何かといった基本的な議論をしっかりとしていくことが必要ではないかと考えています。
池田町教育委員会
教育長 加賀 学
教育長 加賀 学