5月下旬、例年にない高温が続き子どもたちの体調管理を心配していましたが、特段の報告もなく安堵しています。こうした中、中学校では体育祭が行われ、生徒が体育祭の種目に元気に取り組む様子を見ることができました。
子どもたちが生き生きと活動する姿を見ることは、保護者はもとより地域の方々に安心と喜びをもたらしてくれます。
次は小学校の運動会ですが、この教育長のページを書いている時も、池田小学校から練習をしている声が聞こえてきており、運動会当日に子どもたちの様子を見るのが楽しみです。
子どもたちの教育活動を担う教員の任用に関して、厳しい現状が伝えられています。報道によると、道外の富山市の小・中学校では産前産後の休暇や育児休業で休む先生の代わりを務める臨時的任用職員(代替教員)が、4月22日時点で27人不足しているとのことです。
北海道では札幌市を除き、4月末時点で31人が欠員となっているようで、昨年の同時期に比べ半数以下に減少しているとのことですが、それでも欠員があるということは、学級担任、若しくは教科担任が31人いないということです。
これまでの例でいうと、代替教員として任用される多くは教員志望で、残念ながら教員登録にならなかった人です。
教員採用については、昨年の北海道の教員採用候補者選考検査の小学校の倍率は1.2倍だったようで、採用候補者に登録になった人でも採用を辞退する方も相当数いたようです。採用担当者の経験則に基づくものと思いますが、倍率が3倍を下回ると人材の質を維持する面で危険水域と言われています。
何故、このように教員志望者が少なくなったのか?「学校における働き方改革」が進められようとしている中、学校現場を取り巻く課題等の多様化、それらに伴う教員の勤務時間を超えた業務、多忙化がクローズアップされていることが少なからず影響しているような気がしています。
情報技術やグローバルの進展等による教育活動を含めた子どもたちを取り巻く環境の変化、教育の原点である家庭や地域の教育力の低下など、様々な課題の解決が求められ、新たに取り組む事業や学校での指導内容も増加していますが、これまでのように、学校現場での勤務時間を超えた業務を良しとして、その結果、先生たちが疲弊していくのでは、子どもたちの成長にとってプラスとはなりません。
先生の成り手不足は深刻な問題で、先生がゆとりを持って子どもたちと向き合える時間を確保していくことが、子どもたちの健やかな成長に不可欠です。
教員志望者が減少している現状について、教員養成課程や教職課程のある大学を含め関係者が真剣に議論し、子どもたちの成長を支える情熱と熱意、確かな指導力を持った教員の成り手を確保していくことが何よりも必要であり、また、代替教員も確実に確保でき、先生が育児休業等を取得しやすくなるような環境の整備も、関係者が知恵を絞り考えていくことが急務だと考えています。
池田町教育委員会
教育長 加賀 学
この教育長のページを書き終えた時、ショッキングなニュースが入ってきました。
川崎市でスクールバスを待っていた私立小学校の児童が包丁を持った男に襲われ、6年生の女児1人と30代の男性が死亡し、男女14人が負傷したというものです。
事件の詳細は現時点では定かではありませんが、多くの可能性を持った子どもたちが、事件に巻き込まれ命を失うということはあってはならないことであり、とても痛ましく残念です。
学校内での安全管理(危機管理)には校長・教頭をはじめ教職員全員が万全を期していますが、通学路等の校外では、その対策には限界があります。
しかし、子どもたちにかかわる事件・事故が起こるたびに、行政として何ができるか自問・自答しています。
家庭・地域・学校・関係する機関が、子どもたちの安全・安心な生活環境を確保していくことに常に危機意識を持って、縦・横・斜めのつながりを強化し、情報を共有しながら連携していくことが重要だと感じます。