子どもたちにとって、待ち遠しかった夏休みが始まりました。
各ご家庭におきましては、これまで以上に家族団らんの時間を持つなど子どもたちと積極的にコミュニケーションをとってほしいと思っています。
合わせて、夏休み期間中に生活リズムを崩すことのないよう注意いただくとともに、今年は池田小学校プールが利用しやすいようプールバスの運行も見直しましたので、昨年以上の利用を期待しています。
さて、ご承知のとおり、教育委員会では昨年から「望ましい教育環境の整備」に向けた町内3小学校の統合について保護者の皆様方等への説明・意見交換を実施しています。
先日も、保護者の皆様からの意見・要望を踏まえた教育委員会の考え方や学校統合を想定した場合の取組等を説明する場を設けました。
その際に、教育委員会の考え方等に関する疑問の発言がいくつかありました。
その一つは、小規模な学級で「これからの社会で求められる力」の育成が難しいというのはなぜかということでした。
<これからの社会で求められる力>
①理想を実現しようとする高い志や意欲を持って、主体的に学びに向かい、必要な情報を判断し、自ら知識を深めて個性や能力を伸ばし人生を切り拓いていくことができる。②対話や議論を通じて、自分の考えを根拠とともに伝えるとともに、他者の考えを理解し、自分の考えを広げ深めたり、集団としての考えを発展させたり、他者への思いやりを持って多様な人々と協働したりしていくことができる。③変化の激しい社会の中でも、感性を豊かに働かせながら、よりよい人生や社会の在り方を考え、試行錯誤しながら問題を発見・解決し、新たな価値を創造していくとともに、新たな問題発見・解決につなげていくことができる。
このことは、これまでも説明してきましたが、一般的に学級規模が小さい場合、①一人ひとりの学習内容の定着状況等が的確に把握しやすい②様々な活動においてリーダーを務める機会が増えるなどのメリットがありますが、一方で児童数が極端に少なくなった場合、①集団活動・行事の教育効果の低下②集団学習の制約③教員と児童の心理的距離の近さ(あまえ・依存)などが顕著な課題として現れると言われています。
この考え方は文部科学省の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」から引用していますが、この手引の作成に当たっては、大学教授等の教育の専門家の協力を得て作成されたものであり、すべての学校の実態に合っているとは言えないかもしれませんが、相応の知見の下で作成されたものと考えています。
また、学校統合に不安等に感じる児童の意見を聞くべきではないかという趣旨のご意見がありました。
私としては、児童に対し、この度の「望ましい教育環境の整備」に関する考え方を説明し、その上で自分の考えをまとめ本町の将来的な教育のあり方(学校の配置)の意見を聞くことは難しいと考えていますし、学校統合の対象となる児童、そして、これから入学する子どもたちにとって最善の学校のあり様を中心に据え、保護者も含め地域の方々のご意見を聞きながら、本町の教育環境を考え整備していくことが教育委員会の責務であると考えています。
また、学校統合に際し、児童の不安等が募らないよう十分な周知期間や学校間の交流の充実等に取り組みたいと考えています。
保護者の皆様、地域の方々、教育委員会も、子どもたちが笑顔で元気に学校に通い、変化の激しい時代をたくましく生き抜いていく力を身に付け成長してほしいと願う気持ちは一緒です。
その目標の実現に向けて、責任を持って、方向性を示したいと考えています。
池田町教育委員会
教育長 加賀 学
<最近の新聞記事から>
2019年版「自殺対策白書」では、2018年の自殺者数は2万840人で9年連続減少、前年から481人減り37年ぶりに2万1千人を下回った。人口10万人当たりの自殺死亡率も統計開始以来最も低い16.5。ただ、19歳以下の未成年の自殺者数は前年より32人増えて599人となり、自殺死亡率は2.8と統計開始以来最悪。小中学生の自殺の原因は「親子関係の不和」、「家族からのしつけ・叱責」などの家庭問題が多かった。
* 学校、家庭、地域で子どもたちの変化を感じ取れる環境や悩みを相談できる体制の大切さを改めて感じます。