個に応じたきめ細かな指導
「教育長のページ」は令和3年から不定期に掲載していますが、今年も時々の教育に関する話題等に応じて発信していきますので、よろしくお願いいたします。
先日、ラジオ番組で小学校時代の学級の様子を回顧するリスナー(年配の方?)からの投稿を聞きました。
投稿内容の詳細は覚えていないところもありますが、小学校(低学年?)の当時の担任は若い女性の先生で、クラスには後ろの方の席でいつも机の上に突っ伏している児童がいたそうです。
この児童は、先生に教科書を読んでくださいと指されても読むことができなかった(読めなかった)そうです。担任の先生は、この児童に対する指導を丁寧に行い、学年末には前の方の席で教科書を読むことができ、クラス全体が明るくなったような気がしたそうです。
進級し学級担任が男性のベテランの先生になると、指導方法も変わり、教科書を読めるようになった児童は、また以前のようにクラスの後ろの方で机に突っ伏すような状況が続いたとのことでした。
当時の時代背景や教育環境が判然としない中で、どちらの先生の指導が正解なのかは分かりません。
今日、私も含め「個に応じたきめ細かな指導の充実」という言葉を使っていますが、児童生徒の実態と学校に配置されている先生の数からすると、中々容易ではないのが現状です。
昨年末に文部科学省から「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」が公表されました。
この調査は、全国の小・中・高等学校のそれぞれ600校の抽出調査で、回答は学級担任等が質問項目に記入し、特別支援教育コーディネーター又は教頭の確認後、校長の了解の下で提出するものです。
この調査の目的は、「インクルーシブ教育システムの理念に基づいた特別支援教育を推進するため、児童生徒の実態と支援の状況を明らかにする」となっており、留意事項として、「調査の結果は、発達障がいのある児童生徒の割合を示すものではなく、特別な教育的支援を必要とする児童生徒数の割合を示すもの」とされています。
調査結果の一部を紹介しますが、小・中学校で「学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒の割合は8.8%(10年前6.5%)で、このうち、小学校1年生は12.0%、中学校3年生は4.2%、学校種別では小学校が10.4%、中学校が5.6%となっています。
障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである「インクルーシブ教育の推進」が中央教育審議会から示されてから10年程が経過します。
この間、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、小学校の通常学級の35人以下学級の改善は段階的に実施されていますが、本町でも継続して要望している特別支援学級に関連した学級編制の改善は行われていません。
子どもたちの実態を踏まえ、どうすれば個に応じたきめ細かな指導の充実につながるのか、早急な検討・方策の必要性を実感しています。
池田町教育委員会
教育長 加賀 学